<邦画>沈まぬ太陽 ― 日航をモデルに時代と人間を鋭く突く
[UP:2009.10.27]
ご存知、山崎豊子氏の原作を完全映画化。要チェックの映画だったんで公開初日に行きました。
小説も長い(全7巻)が映画も長い。上映時間は3時間半。途中、幕間の休憩(インターミッション)が10分ありました。インターミッションがある映画を見たのは『風と共に去りぬ』以来かもしれない。
でも、あの小説を2時間程度の映画に簡単に納めてほしくないな、と思っていた私は、むしろ、3時間半にしても収まるのだろうか、と思ったくらいでした。

簡単には言えないストーリーだけど・・・・
国民航空の労働組合委員長を勤めていた主人公の恩地(渡辺謙)は、報復人事をうけて、中近東・アフリカなどを転々とする。
謝罪をすすめられても断る恩地。
対して、恩地とともに組合活動をやっていた行天(三浦友和)は会社と結託し、エリートコースを進んでいく。
そんな中、航空機墜落事故が起こる。遺族のお世話係をする恩地、会社側の計算で動く行天。
国民航空建て直しのため、総理大臣から新しい会長(石坂浩二)が派遣される。会長のもとで働く恩地だったが、運輸省との癒着、贈賄、政治家の思惑など、様々な暗躍が繰り広げられる。そのなかで、恩地がたどり着く先は・・・
遺族の感情、モデルとなった日航の抵抗などから「映画化は無理」といわれていた作品である。
小説連載のときから、いろいろ物議をかもし出していた作品だけに、よく、映画化したなあ、と。
公開の舞台挨拶で主役の渡辺謙さんが完成の感激で泣いていたのがとっても印象的でした。
映画自体、とっても、うまくまとまっている。長さを感じさせない。
これが制作費20億円! ハリウッド映画は何百億もよくあるだけに、映画の良さってカネじゃないんだなあ、とつくづく実感する。
日航から拒否されたせい(?)で、飛行機がすべてCGになってしまったらしいが、そのCGは確かにチャッちいものではあるが、それって、なんら映画の感動をさまたげない。
墜落事故でまだ救助中でありながら、会社幹部が
「棺桶の手配を忘れずにな、棺桶が足りなくなったんじゃしょうがない」
と言い放つ。そして、体育館を埋め尽くす、白い棺桶のシーン。呆然と立ちすくむ恩地。
身元確認におとずれる遺族・・・・
実際に起こったとき、まだ独身だった私は、事故の悲惨さだけに目を奪われていたが、家族をもった今、残された人たちの気持ちが、苦しいくらい胸にせまってくる。セリフはなくとも・・・・
このシーンがあるせいで、後半の「会長室編」で繰り広げられる、贈賄、政管癒着などが、単なる社会派サスペンスではなく、「怒り」となって見るものの心をゆさぶっていく。
山崎豊子はさすがだと改めて思う。
「労組問題」、「墜落事故」、「政管癒着」・・・・この3つはそれぞれだけでも充分なテーマだけど、3つあわせることで、3面鏡のようにいろいろなものが見えてくるのである。
改めて、日航機墜落事故でなくなった方のご冥福をお祈りするとともに、ご遺族の方々の幸せを願ってやみません。
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明治大学卒業後、27歳でヒロテックを起業。パソコン畑一筋。
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