大不況には本を読む by 橋本 治
[UP:2009.07.15]
橋本 治さんは、いまいち、メジャーじゃないかもしれませんが、「他の人とは何かが違う!」と思わせる数少ない作家です。
私が始めて読んだのは『桃尻語訳 枕草子』でした。『窯変 源氏物語』も出し、古典文学を新たな境地で見つめなおせる人だなーと思っていると、『「三島由紀夫」とはなにものだったのか』という本を出したり、小林秀雄賞の選考委員もつとめていたり。
デビュー作は『桃尻娘』という青春小説。作家になる前はイラストレーターだったという・・・
こんな多才な人っているんですねー。
で、本屋をぶらついていて、見つけたのが、この本。
橋本著とあって中身をよく見ずに即購入。橋本流の読書論かと思ったのですが・・・・
・中公新書ラクレ
・2009年6月初版
・740円+税
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■目次抜粋
・この不況とはどのような不況なのか
・人類の折り返し点
・「本を読む」ということ
読んでみると、この本は橋本流「経済学」の本でした。
最終章の「本を読む」ということの部分は、20ページほど(でも、この内容がまたいいんですけど)。あとはすべて経済についての内容です。
つ、ついに、橋本さん、経済学まで・・・さすがです。
経済の素人といえばそれまでだけど、経済人じゃないからこその見方のするどさがあるし。
文学者だけに「たとえ」がすばらしく、わかりやすい。
以下、抜粋。
「利益の流れ」は水と同じで、「水路に沿って流れる」なのです。
水路からはずれている人間のところにまで水がやってきたら、それはもう「氾濫」で「浸水」です。
金余りのバブルがロクでもないのはそれが「氾濫」だからで(中略)、やがてその水がひいて「被害」だけが残るのはわかりきっていることです。
「世界経済」とはつまり、水路の設計と水流の管理調節なのです。
わかりやすっ!!
橋本流の経済論には賛否両論があるかと思いますが、論のはりかたはさすが。
「AはBである」と書いてあるとする。
私は心の中で「でも、こんなときはAってCじゃないの?」と思う。
次のページではすかさず、論証をあげて、その疑問に答えている、という展開。
み、みすかされている!
ビジネス本は一方的に論が流れていくのが多い中、反論を見越した上で、論証をあげて自論を展開していくやり方を久々に読んで、大学の卒論を思い出しました。
最後に橋本流の「本を読む」ということの中から。
本を読む上で一番重要なのが、「行間を読む」です。
「書かれていないこと」が、読者が探り当てて考えるべき「自分の必要なこと」なのです。
ううむ・・・含蓄あるお言葉。
私自身、『すぐにわかる○○』や『今日からできる××』などのノウハウ本に惹かれて、てっとりばやさだけを追い求めておりました。猛省・・・・
ちなみに、橋本 治さんは東大文学部卒。その博学ぶり、ユニークさはいかにも・・・って感じです。
東大文学部ってこんな面白い人がいるんだったら、さぞかし、楽しいだろうなあ。
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本書の最後のページのノンブルは237、本を読むことが話題になるページのノンブルは209。さて、改めてタイトルをご紹介しよう「大不況には本を読む」である。(... 続きを読む
明治大学卒業後、27歳でヒロテックを起業。パソコン畑一筋。
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